中小企業も無関係ではないデジタル被害の現実
「個人情報流出」や「サイバー攻撃」といった、デジタル被害に関するニュースを頻繁に見かけるようになりました。
以前は大企業が標的になるケースが目立っていましたが、近年では中小企業でも狙われる時代になっています。
その理由はシンプルで、大企業はセキュリティ対策が進んでいる一方、中小企業は「うちは関係ない」と思い込み、対策が甘くなりがちだからです。
サイバー攻撃被害の30%が中小企業という事実
実際に、株式会社帝国データバンク「サイバー攻撃に関する実態調査(2025年)」では、全国の企業のうち32.0%が過去に何らかのサイバー攻撃を経験しており、中小企業でも30.3%、小規模企業では28.1%が被害を受けたと回答しています。
そのうち、1か月以内に攻撃を受けた可能性があると答えた中小企業も6.9%に達しています。*1
企業規模別サイバー攻撃被害経験の有無(帝国データバンク/2025年)

さらに、経済産業省・情報処理推進機構(IPA)「2024年度 中小企業等における情報セキュリティ対策に関する実態調査」によると、過去3年間にサイバーインシデントが発生した中小企業の平均被害額は73万円、そのうち約1割(9.4%)が100万円以上の損害を受けています。*2
中小企業の被害金額分布(IPA/2024年)

また、復旧までに平均5.8日を要し、50日以上かかった企業も2.1%に上ると報告されています。*3
さらに、経済産業省調査では、過去3年間にサイバー攻撃を受けた中小企業の約7割が「取引先にも影響があった」と回答しています。*3
このような連鎖的な被害は「サイバードミノ現象」と呼ばれています。
一方で、同調査によると約6割の中小企業が情報セキュリティ対策への投資を行っていない状況です。*2
「対策の遅れ=リスクの拡大」であることが、データからも明らかです。
サイバー賠償責任・サイバー被害の事例
もし自社が攻撃を受けてサイバードミノ現象が発生し、取引先や顧客に被害が広がったらどうなるでしょうか。
たとえ悪意がなくても「情報を守る義務を果たしていない」と見なされ、損害賠償を請求される可能性があるのです。
事例① メール誤送信をきっかけに顧客情報が流出
発生した事故
社員が取引先に送るメールを誤って別の相手に送信。
添付されていたファイルには顧客の氏名・住所・契約内容が記載されており、相手先に流出。
被害
- 個人情報流出に関する 謝罪文作成・顧客への連絡作業
- 弁護士への相談費用
- 顧客からの損害賠償請求(慰謝料+事務手続き費用)
- Web上での風評被害対策
ポイント
誤送信という小さなミスからでも、情報が含まれていれば賠償責任が発生する典型例。
事例② ランサムウェア感染により業務停止
発生した事故
外部からのフィッシングメールを社員が開封し、PCがランサムウェアに感染。
社内サーバーが暗号化され、受注管理・出荷管理などのシステムが停止。
被害
- システム復旧費用(外部専門業者対応)
- 取引先への納期遅延による 違約金の支払い
- 一部顧客情報も流出し、通知書送付・問合せ対応
- 業務停止による大きな売上損失
ポイント
サーバーが使えなくなるだけで事業が止まり、“情報漏えい+業務停止”の二重被害が発生。
事例③ 自社サイトが“踏み台”にされ取引先へ攻撃が波及
発生した事故
自社Webサイトの脆弱性を突かれ、攻撃者によって改ざん。
そこから取引先企業へ不正アクセスが行われ、取引先側でもシステム障害が発生。
被害
- 取引先のシステム障害に対する賠償金請求
- 脆弱性調査・再発防止のためのサイト再構築費用
- 「踏み台企業」というイメージによる信用低下
- 謝罪会見用の広報対応費用
ポイント
「自社は被害者だから関係ない」では済まされない。
取引先へ波及する“サイバードミノ”の典型例。
このような事例からもわかる通り、顧客・取引先への賠償金、弁護士・専門業者への対応費用、原因調査・システム復旧費用、謝罪広告や広報対応の費用(風評被害対策)などが一気に発生すると、中小企業にとっては深刻な財務リスクになります。
サイバーセキュリティ対策と備え
サイバー被害のリスクに対して有効な手段として、「専門のサイバーセキュリティ担当を雇用する」、「高額なセキュリティシステムを導入する」の2つが挙げられますが、中小企業にとって簡単ではありません。
対策① 専門のサイバーセキュリティ担当を雇用する
メリット
- 社内に専門家が常駐し、迅速な対応が可能
- 情報資産の棚卸し、運用体制の構築などが一貫して行える
- 外部委託よりも継続的な改善がしやすい
デメリット
- 1名採用しても 24時間対応は困難
- 離職リスクが高く、ノウハウが属人化する
- 人材不足のため採用そのものが非常に難しい
コストの目安
- 年収:約500~900万円(経験者は1,000万円超もありえる)
- 研修・ツール費用:年間20~100万円
→ 小規模企業には 採用難易度・人件費の面で大きな負担。
対策② 高額なセキュリティシステムを導入する
メリット
- 最新の脅威に対して広範囲のセキュリティを自動で実施
- 攻撃検知・遮断の精度が高い
- 社内専門家がいなくても一定レベルの防御が可能
デメリット
- 導入後も運用・監視の手間が残る
- 仕組みを理解する担当者が必要
- 企業規模によりコストが過剰になるケースも
コストの目安
- 導入費用:50~300万円
- 月額料金:数万円~数十万円
- SOC(会社のセキュリティを常に見張る警備センター)監視:月30~100万円
→ 特に「運用コスト」が重く、継続が難しい企業も多い。
サイバー保険で損害を幅広くカバー
そこで活用できるのがサイバー保険です。
サイバー保険では、次のような費用を包括的に補償できることがほとんどです。
顧客・取引先への賠償金
情報漏洩やシステム障害によって顧客や取引先に損害を与えてしまった際、その補償金をカバーすることで急な資金流出を防ぎ、事業への影響を最小限に抑えます。
弁護士・専門業者への対応費用
サイバー攻撃の原因特定や被害範囲の調査、賠償請求への法的対応など社内では対応できない高度な作業を専門家が正確・迅速に行えるよう費用面を支援します。
原因調査・システム復旧費用
暗号化・破壊・改ざんされたシステムやデータを正常稼働に戻すための復旧作業や再構築に必要なコストを補い、長期的な業務停止を避けて事業継続を守ります。
謝罪広告や広報対応の費用(風評被害対策)
事故後に必要となる顧客への通知、謝罪広告、コールセンター対応、風評被害の抑制など広報活動を可能にし、企業の信用回復とブランド保護を支援します。
さらに、保険会社の「事故対応窓口」に相談できるため、被害発生時に「何から手をつければよいか分からない」という不安も軽減されます。
【サイバー事故対応窓口でできること(例)】
- 初動対応の指示(システム遮断、ログ保存、関係者の対応手順)
- 専門調査会社の手配(フォレンジック調査・影響範囲の特定)
- 弁護士相談の手配(賠償リスク・発表文のリーガルチェック)
- 顧客への通知文・謝罪文の作成サポート
- コールセンター設置の手配
- 広報対応の支援(謝罪広告、風評被害対策)
もし、これらを保険なしで民間に直接依頼すると、一般的に以下のコストが発生します。
【民間委託の場合の相場(一例)】
- フォレンジック調査:50~300万円以上
- システム復旧作業:30~200万円程度
- 弁護士費用:1時間2~5万円 × 数十時間以上
- コールセンター設置:50~150万円
- 風評被害対策(ネット調整):30~100万円以上
民間委託の場合、100万~500万円以上に達することも珍しくありません。
そのため、事故対応窓口付きのサイバー保険は、「初動・専門家・法務・広報」をまとめて確保できるコストメリットが非常に大きいといえます。
中小企業こそ、サイバーリスクへの備えが必要
サイバー攻撃はもはや「大企業だけのリスク」ではありません。
統計からも明らかなように、中小企業でも被害を受けやすく、取引先や顧客を巻き込む“連鎖的な損害”の危険が高まっています。
セキュリティ対策を行うだけでなく、サイバー保険でもカバーして、技術面と金銭面の両方からリスクに備えることが重要です。
「うちは関係ない」と思う前に、まずは一度ご相談ください。
引用
※1:帝国データバンク「サイバー攻撃に関する実態調査(2025年)」https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250619-2025cyber-attack/
※2:情報処理推進機構(IPA)「2024年度 中小企業等における情報セキュリティ対策に関する実態調査- 報告書 -」https://www.ipa.go.jp/security/reports/sme/nl10bi000000fbvc-att/sme-chousa-report2024r1.pdf
※3:経済産業省「中小企業の実態判明 サイバー攻撃の7割は取引先へも影響」https://www.meti.go.jp/press/2024/02/20250219001/20250219001.html
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