会社経営と切り離せなくなった、経営者・役員個人のリスク
弊社は法人契約がメインとなるため、保険に関するご相談等は経営者や役員の皆さまからとなります。
経営は毎日が決断の連続。そのなかで、皆さまの心配ごとの多くはやはり「明日の売上・人材の確保」です。
- 新規事業を立ち上げるか
- 取引条件を見直すか
- 従業員を採用/解雇するか
- 下請け・外注契約を結び直すか
- 働き方や安全管理をどう整えるか
こうした判断のひとつひとつが、会社の未来をプラスにもマイナスにも左右します。
そしてその結果がプラスであれマイナスであれ、経営者様の判断の結果として責任を負うことになります。
しかし、どれだけ慎重に行っても、予期せぬトラブルや、後から振り返ると問題とされる過失。
それが、経営者・役員個人の財産にまで影響を及ぼす、そんな時代になっています。
昔みたいに「会社=会社のお金で解決」で済まないことがある。
そんな現実を、私たちは見過ごすことはできません。
会社では守れない – 会社法が決める「会社と役員の関係」
会社法のもとでは、たとえ経営者や役員が「会社のために」行動したとしても、以下の法的義務を果たせなければ、損害賠償責任を負う可能性があります。
- 善管注意義務(善良な管理者としての注意義務)
- 忠実義務(会社の利益を優先する義務)
- 内部統制構築義務
- 監督義務(従業員や子会社の管理を行う義務)
役員が義務を果たさなかった場合、「○○義務違反」となり、「義務違反」の結果、事故・トラブル等が発生。
そして自身が在籍している会社や第三者に損害が及んだ場合、「役員が重要な任務を怠った(=義務違反した)からだ!」と責任追及(=損害賠償請求)される恐れがあります。
これが、任務懈怠責任=経営責任となってきます。
ところが、利益相反の観点から、会社が役員のために「弁護士費用や賠償金」を自由に負担することはできません。
つまり、万が一のときに頼れるのは “会社ではなく、経営者自身”となってきます。
なぜ会社は役員の弁護士費用や賠償金を自由に負担できないのか?
会社法には「利益相反(りえきそうはん)」の考え方があります。
役員(取締役・監査役など)の責任が問題となる場面では、多くの場合、会社(損害を受けた側) vs 役員(被請求側)という構図になります。
- 会社は「被害者側」
- 役員は「加害責任を問われる側」
そのため、両者は“対立当事者”になる可能性が高く、 会社は役員を守る立場ではいられない。これが「利益相反」です。
また、会社の顧問弁護士が使えない場合もあります。
結果として、訴訟対応の費用はすべて役員個人の持ち出しです。
会社法の考え方(根拠条文)
会社法では、役員の責任が争われる際、
① 会社は役員に対して損害賠償請求できる(会社法 第423条)
役員が善管注意義務等に違反した場合、会社に損害賠償責任を負います。
つまり、役員を訴えるのが会社側ということもありえます。
② 株主が会社に代わって役員を訴える制度(会社法 第847条:株主代表訴訟)
会社が動かないなら、株主が動くという仕組みです。
この場合でも、訴えられるのは役員になります。
会社は「加害者側・被害者側のどちらか」になるため、会社がお金を出して役員を守ることはできないという原則が強く働きます。
弁護士費用の「会社負担」は原則できない
会社が “役員個人” の防御費用(弁護士費用等)を負担すると、会社の利益を害する(株主の不利益)ため、 会社法上は許されないケースが多いのです。
ただし、一時的に費用立替えが認められるスキームもありますが、最終的に「役員が賠償責任あり」と判断されれば、会社が負担した費用は役員に返還請求できます。
言い換えると、役員の責任が問われる状況では、
会社は「味方ではなく、中立(時に敵)」になり、その瞬間から役員個人は自分のお金で戦うしかない。
というのが法律の建て付けなのです。
その損害、会社ではなく「あなた」が払うかもしれません
これまでに起きた「会社の損害」が、役員個人の財布に直撃した実例
中小企業でも、実際に以下のような事例が報告されています。
- 第三者訴訟:HP掲載写真の著作権侵害を巡り、社長個人が約1.7 億円の賠償請求を受けたケース
- ハラスメント訴訟:従業員の精神疾患を招いたとして役員個人にも請求。賠償請求額は約 1,100 万円
- 株主代表訴訟:社員の横領を未然に防げなかった管理責任として、役員個人への損害賠償請求
「会社の問題」は、そのまま役員個人の財布の問題になりえるのです。
保険に入っていなければ… 想像以上の損害が待っている
① 弁護士費用の“見えない負担”
訴訟が起きたら弁護士を雇うことになりますが、着手金、日当、証拠収集費用、資料作成費用などが必要となります。
たとえ最終的に「勝訴」しても、支払った弁護士費用は戻ってきません。つまり、勝っても負けても、役員個人の財布は痛みます。
過去には、数百万円〜数千万円にのぼる弁護士費用を支払った事例もあります。
② 賠償金は個人資産から – 退職金・自宅・貯金も危うい
訴訟で認定されれば、和解金・判決金は個人資産から支払うことになります。
その場合は、現預金、不動産、退職金・年金見込み、また、将来のための資産運用等などが差し押さえ対象になる可能性があります。
しかも、責任追及が起きるのは、退任後数年あるいは相続後という例も。
将来のご家族の人生設計まで、振り回されることもあります。
③ 「言いがかり訴訟」でも対応費用はかかる
たとえ請求内容が根拠の薄い「言いがかり」であっても、訴訟が起きた時点で対応費用は発生します。
勝っても、負けても、費用は個人負担。これが現実です。
④ 10年間は責任を負う
取締役への責任追及には、民法に定められた消滅時効があります。
※どちらかの期間が経過した時点で、時効が成立となります。
つまり、役員を退任しても、時効期限内であれば損害賠償請求されてしまう恐れがあるということです。
- 責任を追及する側(株主や債権者)が、当該取締役に対する損害賠償請求権を行使できることを知ったときから5年
- 当該取締役に対する損害賠償請求権を行使できるときから10年
さらに自分が亡き後に「家族(相続人)」にふりかかるリスクもあります。
相続時、単純承認の場合、現金や不動産などのプラスの財産に加え、借金などマイナスの財産も全て相続されます。
また、相続後に新たな債務等が生じても、日本の法令・判決では、原則、後から「相続放棄」できません。
役員が急死・相続した後、時効期限内であれば相続人に対してまでも損害賠償が提起される恐れがあるということです。
「会社の責任」が役員個人を直撃する時代
大企業ですら揺らぐ – 役員個人責任のリアルな時代
役員賠償の事例

これらはすべて大企業の事例ですが、「会社の規模」は問題ではありません。重要なのは「どこまで備えたか」。
中小企業でも同じ“役員個人責任の波”にさらされる時代です。
なぜいま中小企業でも役員賠償の補償が必要なのか – データが示す現実
2024年、ある損保協会が実施した中小企業向けリスク調査では以下の結果が出ています。
- 79.0%79.0%の企業が「何らかの経営リスクを感じている」
- 26.3%cの企業が「過去にトラブルや損害を被ったことがある」
- しかし、役員賠償保険などの加入を検討している企業はわずか23.0%
つまり、多くの中小企業がリスクは認識しているが、その備えはまだ不十分というのが現状です。
一方で、大企業では役員賠償保険はほぼ当たり前。
中小企業はいま、備えるかどうかの「わかれ道」に立っています。
役員賠償責任保険で“安心”を買う
つまり経営者や役員は、損害賠償金、弁護士費用や訴訟対応費用、親族間トラブル・株主代表訴訟など、
会社と役員の利益相反が関わる訴訟の防御というリスクを負います。
これでは積極的な経営判断は難しくなってしまい、会社の成長を妨げるリスクに繋がります。
そこで役員賠償責任保険などで補填することによって、次のようなメリットが生み出せます。
- 経営者本人とそのご家族の資産が守られる
- 経営判断への不安が減り、会社成長に集中できる
- 取締役や役員候補に対しても「安心できるガバナンス基盤」を示せる
その結果、会社の信頼性・安定性が高まり、将来の採用、業務提携、M&Aなどにも有利に働きます。
積極的な判断によって「明日の売上・人材の確保」をし、会社の成長を促していく。
これを後押ししてくれることが役員賠償責任保険の効能となっていきます。
会社経営には2重の防御線が必要
- 法令・ガバナンス意識の高まり
- 社会環境の変化(ハラスメント、情報漏洩、下請け問題、コンプライアンス厳格化)
- グローバルな取引、海外展開、サプライチェーンの複雑化
これらすべてが、役員個人に責任を及ぼす可能性を高めています。
それに加えて、誰もが情報発信できる今、炎上リスク・SNSによる世論も無視できません。
ちょっとしたミスが、会社・役員・家族すべてを巻き込む事態に――。
そんな時代だからこそ、「会社を守る」「経営者を守る」という2重の防御線が必要なのです。
経営者という仕事は、外目からは華やかで立派な、ステータスのある地位と見られがちですが、実際は自身の経営判断による結果がマイナスであった際は全て自身の責任として負わなければいけない、非常にシビアな役職です。
だからといって消極的な経営判断を選んでいくだけでは「明日の売上・人材」といった問題は解決せず生産性も上がりません。
積極的な経営判断をしていくためにも、これからの時代の経営において役員の賠償責任は切っても切れない存在となっているのは間違いありません。
ご相談はお気軽に
- 将来を見据えた経営をしたい
- 経営判断に集中したい
- 家族や会社の将来を守りたい
そんな想いを持つすべての経営者・役員の皆さまに、安心と選択肢をご提供します。
「役員賠償について相談したい」「保険内容を詳しく知りたい」など、どんな小さな疑問でも大歓迎です。
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